「最近の鹿島アントラーズは、昔ほどの強さはない」
そんな声を聞く機会が増えた時期がありました。
実際、Jリーグ優勝から長い時間が空き、タイトルから遠ざかっていたのも事実です。
しかし、数字を冷静に見てみると驚くべき事実が浮かび上がります。
鹿島アントラーズはタイトルを逃し続けたシーズンを含めても、13シーズン連続でリーグトップ5以内に入り続けていました。
これはJリーグ全体を見渡しても、ほぼ前例のない記録です。
なぜ鹿島は“低迷期”と呼ばれる時代でも崩れなかったのでしょうか。
鹿島アントラーズが最後にリーグ優勝した2016年
鹿島アントラーズがJリーグタイトルを獲得したのは、2016年シーズンまで遡ります。
当時は2ステージ制とチャンピオンシップが組み合わさった特殊なレギュレーションでした。
鹿島は1stステージを制し、その資格を得てチャンピオンシップへ進出します。
準決勝・決勝で川崎フロンターレ、浦和レッズを破り、年間王者に輝きました。
ただし年間勝ち点では3位で、4位ガンバ大阪との差もわずか1。
決して圧倒的なシーズンではありませんでした。
それでも最後に勝ち切る。
これこそが当時の鹿島アントラーズでした。
クラブW杯決勝進出と天皇杯制覇という最高潮
2016年の鹿島は勢いが止まりませんでした。
Jリーグ優勝により出場したクラブワールドカップでは、
アジア勢として初の決勝進出を果たし、レアル・マドリードと死闘を演じます。
結果は惜敗でしたが、世界に鹿島の名を刻んだ大会でした。
その後に控えていた天皇杯でも勢いは衰えず、
決勝で川崎フロンターレを下して優勝。
「この強さはしばらく続くだろう」
多くのサポーターがそう感じたはずです。
2017年に見え始めた“勝負強さの陰り”
しかし、翌2017年シーズンは過密日程と疲労の影響もあり、
勝ち切れない試合が徐々に増えていきました。
リーグ終盤には、あと1勝すれば優勝という状況まで迫りながらも、
最後は川崎フロンターレに競り負けて準優勝。
このシーズンを境に、鹿島アントラーズは大きな転換期を迎えます。
主力若手の海外移籍が続いた転換点
2017年以降、鹿島では主力級の若手選手が次々と海外へ移籍しました。
それも、単なる若手ではありません。
鹿島の戦い方を熟知し、勝ち方を体現していた選手たちです。
シーズンオフごとに戦力が入れ替わり、
毎年ゼロからチームを作り直すような状況が続きました。
同じ戦術を採用しても、完成度はどうしても下がってしまいます。
小笠原満男の引退とクラブの象徴喪失
追い打ちをかけるように、2018年オフには
鹿島アントラーズの象徴とも言える小笠原満男が引退。
ピッチ内外で「鹿島らしさ」を体現してきた存在を失った影響は、
数字以上に大きなものでした。
さらに親会社が新日鉄住金からメルカリへ変更。
現場だけでなく、経営面でも大きな変化が訪れます。
迷走を象徴する監督交代の多さ
この時代を象徴するのが、監督交代の多さです。
2017年から2025年までに、
実に8回もの監督交代が行われました。
サッカーの神様ジーコが築いたブラジル路線からの転換、
ヨーロッパ的な戦術の導入など、方向性も定まりませんでした。
毎年のように指揮官が変わる中で、
普通のクラブであれば順位が大きく崩れても不思議ではありません。
それでも鹿島は崩れなかった
ここからが、鹿島アントラーズの“異常さ”です。
主力の流出、監督交代の連続、クラブ体制の変化。
これだけの要因が重なりながらも、鹿島はJ2降格争いに巻き込まれることがありませんでした。
13シーズン連続トップ5という異常な記録
2013年シーズンから2025年シーズンまでの鹿島の最終順位は以下の通りです。
| 年度 | 順位 |
| 2013年 | 5位 |
| 2014年 | 3位 |
| 2015年 | 5位 |
| 2016年 | 1位 |
| 2017年 | 2位 |
| 2018年 | 3位 |
| 2019年 | 3位 |
| 2020年 | 5位 |
| 2021年 | 4位 |
| 2022年 | 4位 |
| 2023年 | 5位 |
| 2024年 | 5位 |
| 2025年 | 1位 |
13シーズン連続トップ5。
優勝できない年が続いても、最終的には必ず上位にいる。
これは、鹿島アントラーズ以外ではほぼ見られない記録です。
なぜ鹿島だけが生き残れたのか
理由は一つではありませんが、
大きいのは**「勝ち切る文化が完全には失われなかったこと」**です。
- タイトル経験者が常にチームに存在していた
- 優勝争いを経験した選手が基準を下げなかった
- シーズン終盤に最低限の勝点を積み上げる力があった
たとえ完成度が低くても、
「最低限、上に行く」という共通認識が残っていました。
2025年優勝、そしてこれからの鹿島アントラーズ
鹿島アントラーズは鬼木監督のもとで再びJ1優勝を果たします。
2026年シーズンはシーズン移行の影響で特殊な年になりますが、
この“底力”を持つ鹿島がどのような戦いを見せるのか。
長く苦しい時代を知るサポーターにとって、
再び期待を持てるシーズンになるのは間違いありません。
まとめ
- 鹿島はタイトルから遠ざかっても崩れなかった
- 13シーズン連続トップ5は異常な記録
- 勝ち切る文化と基準の高さがクラブを支えた
優勝こそが至上命題の鹿島にとって満足できない時代だったかもしれません。
この記録は、他クラブから見れば羨望の対象でもあります。
鹿島アントラーズは、やはり“簡単には沈まないクラブ”です。
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